1冊の古い絵本があります。

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私が小さい頃に買ってもらった『まっちうりの少女』。

今まで何度読んだことでしょう。

表紙はボロボロにめくりあがり、印刷も色あせてしまってます。

でも、大好きな大好きな絵本です。

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この絵本の登場人物はみんなお人形で作られています。

黄色の毛糸でできた髪の女の子は

祖末なつぎはぎだらけのお洋服を着ていました。

町行く人々の暖かそうな衣装とは対照的に

女の子が着ている薄手でボロボロの洋服の質感。

道行く人達の楽しそうな表情とはうらはらに

今にも倒れそうなうつろな目をした少女の表情。

冷たい雪の上を裸足で歩く少女の足はしもやけで赤くなっていて、

雪道をジャリ、ジャリと歩く音さえ聞こえます。

着ているものや背景の鮮やかな色彩と

豊かな人形たちの表情。
 
そこにはイラストやアニメでは

決して表現できないような世界がありました。
 
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凍える中、裏通りの家の窓から見えた楽しそうなクリスマスを

女の子はどんな気持ちで眺めていたのでしょう。

マッチの炎がともっているほんの少しの間は

幸せな気持ちになれます。

そこにはおいしそうなごちそうや

きれいな飾り付けをされたクリスマスツリーが見えてきました。


でも、マッチの炎が消えてしまうと

現実に引き戻されたちまち凍える雪の中にいます。


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おばあさんに抱きかかえられ

天使に導かれ天国に登っていく最後の場面。

何度涙したことでしょう。

ページのところどころに涙のしみが残っています。



 最近、本屋さんで立ち読みをしていた時に

偶然この本のことが掲載されている本を見つけました。



『くりくりの本

かわいい手づくり雑貨 1000の手芸』


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この本を開いてびっくり。

なんと私の大好きな絵本の話が載っていました。



この本に出てくるお人形は

1950年代に人形作家の熊谷達子さん(当時は谷内達子さん)が

戦後の何もない時代に、

工場からもらった針金で人形の芯を作り

布に模様を縫って染めて作ったそうです。 

近くの手芸屋さんに行けば

いろいろな材料がすぐ手に入る今の時代と違って

苦労して材料を探し回ったり、

身近なものを工夫して作り出すのは

どんなに大変だったことでしょう。

細かいところにもたくさんのこだわりが見られ

とても丁寧に作られているお人形たち。

鮮やかな色彩や、表情豊かなお人形は

長い間、子供たちに感動を与え続けてきました。


私もこんな風に、お人形を使って

物語のページにしてみたいなと思って

トリビュートとして作ったのがこの画像です。


madame alexanderのお人形を使って

マッチ売りの少女の画像を作ってみました。


背景のドールハウスも

熊谷さんの絵本をイメージして作りました。



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私のお人形好きは

もしかしたら、この本によって
 
培われたのかも知れません。