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これは1900年代に作られたシェーンハット社のトイピアノ。

私のお気に入りのアンティークです。



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前面の左右にはフルートを吹いた天使。

真ん中にはアポロと

9人のミューズの女神が輪になって

楽しそうにダンスを踊っていて

ビクトリアン時代の雰囲気がよく出ています。



本体は木製で小さな鍵盤をたたくと

ロッケンシュピール(鉄琴)のような音がし、

古いものにもかかわらず、15key全ての音が出ます。



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鍵盤は白鍵のみ、黒鍵は白鍵盤を黒く塗ってあるだけなので

弾ける曲は限られてしまいますが

100年も前の子供達は

このピアノでどんな曲を弾いていたのでしょう。

遠い昔の時代に思いを馳せます。


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トイピアノと言えば

大学の時、デパートで夏休みのアルバイトで某メーカーが販売した

トイピアノの宣伝販売をしていたことがありました。

おもちゃと言えども、ピアノメーカーが作ったものであったので

音のピッチや打鍵の感覚は

本物のピアノと変わりない優れものでしたが

鍵盤のサイズがとても小さくて

最初はその小ささにとまどいながらも、

窮屈な思いをしながら言われたとおり

簡単な子供の曲を店頭で弾いていました。



そのうちに、子供の曲も弾き飽きて

2台を並べて、1台は右手、もう1台は左手で弾くと

窮屈さから解放されて

もっといろいろな曲が弾けることに気がつきました。



家からリズムボックスを持ってきて

QueenやEagles、Bostonなどのロックを弾くようになると

今まで素通りだった若い子達が立ち止まるようになりました。

一度ブースの前に数人が足を留めると

何が始まったのか、さらに数人が立ち止まり

押すな押すなの騒ぎになってしまいました。



そのトイピアノはおもちゃにしては結構高い値段だったのですが

バイト中に80台ほど売れて

あまりの売れゆきに担当者が首をひねり(?)

何でこんなに売れるのか

社長自ら、現場を見に来ました。



夏休みも中頃になると、休み明けのピアノの試験が気になりはじめ

クラシック路線に変えて

毎日、課題曲の練習をしてましたが

ある時、本物のピアノで弾いてみたら

トイピアノの小さい鍵盤で慣れてしまった指のせいで

本物のピアノが全く弾けなくなり

ものすごくあせった思い出があります。

元の感覚を取り戻すのに、かなりの時間を有しました。




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大学の購買部で半年に1度、楽譜のセールスがあって

輸入ものの楽譜や

珍しいアンティークの楽譜などが入荷してきました。

輸入ものの楽譜はとても高く、

ましてやアンティークとなると

私のような貧乏学生には

そう簡単に手に入れられる値段ではありませんでしたが

ダンボールの中の無造作に詰められた楽譜を手にとっては

素敵な表紙を眺めたり、

楽譜に目を通して頭の中でピアノを弾いてみたりで

半年に1度のセールをとても楽しみにしていました。



近頃は交通事情の発達と円高の影響もあって

以前よりもこうしたアンティークの楽譜が

ぐんと手に入りやすくなりました。

最近購入した楽譜の中で、お気に入りのはこちらです。





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『La Poupee animee』元気なお人形

フランスの作曲家L.L.Lyndeの作品。

1920年にL.Maillochonから発行されました。

イラストレーターのHenri Armengolが描いた

スポットライトの元で踊るお人形が描かれた表紙が

とっても可愛いらしです。

パリのムーランルージュの華やかな舞台で踊る踊り子を彷彿させ

アメリカのラグタイムにも似た

シンコペーションの効いた

華やかで軽やかな4分の4拍子の曲です




sheet2


『Valse intime』くつろぎのワルツ

フランスの作曲家Alfred Leoの作品。

1905年にA.Boscから発行されました。

この楽譜の表紙はイラストレーター

Georges Rosenによって描かれています。

柔らかなタッチで優雅にピアノを奏でる婦人と

その向こうにはリラックスした紳士。

演奏している場所はサロンでしょうか。

その昔パリが繁栄した華やかな時代を描いています。

ピアノのための3部形式のワルツで

思わず踊りたくなるような

心ときめくようなとてもロマンチックな曲です。






sheet3


『Swingand Sway』

Miller Shoemaker作曲。

1953年にニューヨークのBelwin INCから発行されました。

2色刷りのシンプルな表紙ですが

女の子が気持ち良さそうにブランコに乗って揺れています。


8分の6拍子で半音づつ上がる進行が、

少しずつ空高く近づくブランコの揺れを表し

ゆったりとしたとても気持ちの良い曲です。




気に入った表紙の楽譜は、額に入れて

壁に飾ったりしています。

アンティークの楽譜は弾く楽しみだけでなく

表紙を眺めることの楽しみもあります。

古き良き時代に思いを寄せながら

こうして秋の夜長を過ごしています。



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年代とともに少しずつ『物』は朽ちていくけれど

時の風化にさらされても

音楽は色褪せることはありません。

ひとたび楽譜を演奏してみると

あの時の古き良き時代が蘇ってきます。

これからも少しずつ折りをみて

コレクションしているアンティーク楽譜を

ご紹介していきたいと思います。