上手下手は別として

私はハンドメイドは大好きなのですが

どうもお裁縫だけは昔から苦手でした。

 どのくらい前から苦手だったかと言うと

それは数十年前の幼稚園時代に さかのぼります........

当時の私は体がとても弱く、よく風邪をひいては熱を出し

幼稚園をよくお休みしていました。

 幼稚園の卒園まであともう少しと言うときに

またしても熱を出し、1週間ほどお休みしてから通園したある日

担任の先生が私だけ部屋の隅の机まで連れて行き

大きな画用紙を渡して、これに好きな絵を描きなさいと言いました。
 

どうやら、私がお休みしていた間に

他のお友達は卒業作品の課題をやり終えていたらしいのですが

お休みしていた私だけまだやっていなかったのです。

その画用紙には、マス目に 小さな穴が規則正しく空けられていていました。

何のための穴なのかもわからず、 

今まで穴の空いた紙に絵を描いた事がなかったので

できるだけその穴をよけながら、女の子の絵を描きました。


すると、今度は先生がリボンを通した針を持って来て

空いている穴から

まずリボンを通した針を下から上に出して、

今度はその針を描いた絵にそって

上から下へと通して、つまり運針の要領で

リボンで描いた線をなぞるようにと指示したのです。



やってごらんと言われても私はそれが全くできませんでした。

だって、私が描いた線はわざわざ穴をよけて描いていたから

当然描いた線の上には穴が通っていなかったのです。

すると、先生は描いた絵の線の近くの穴にリボンを通すように言い

しばらくお手本をやってみせてくれました。

でも、単純に隣の穴にリボンを通すから

丸みを帯びた女の子の顔が角ばって行きました。

そして描いた線のすぐ近くの穴にリボンを通すことで、

左右のおめめや眉毛の位置が対称でなくなってしまって

せっかく可愛く描いた女の子の絵が

だんだん変な顔の女の子になってきていました。

例えばその絵がおうちだとか汽車だとか

直線を使った絵だったら、リボンと針を使って

絵を描けたかも知れませんし

たくさんの穴があいてある用紙だったら

丸い線も描くことができたでしょう。

でもその用紙の穴は2センチくらい間隔でしか

空いてませんでした。

 

それで先生が他の部屋に行ったときに、

画用紙から、先生がやったリボンを全部引っこ抜いて、

他の子がお遊戯している姿をぼんやりと眺めていました。

 

しばらくすると先生が戻って来て、

なんでせっかくやってあげたのを引っこ抜いてしまったの!と怒り出しました。

その担任の先生はとても怖い先生で

キツネのようなつり上がった目をしていて

言う事をきかない子供や、給食が遅い子供を

よく暗いトイレの中に閉じ込めていました。

お遊戯をやっている時に、トイレから

『先生、出して〜。ごめんなさ〜い』っていう泣き声がよく聞こえてきてました。

 

私は聞き分けの良いお利口の子供だったので

その先生からトイレに閉じ込められることはありませんでしたが

この課題ができなければ、私もトイレに閉じ込められるかも知れないと思うと

怖くて、怖くて、震えながら穴にリボンを通すのですが

やはり女の子の顔が角張ってロボットのようになってしまい

またそこで手が止まってしまいました。

 

するとそれを見た先生が『なんでこんな簡単なことができないの!』と怒鳴って

私の手の甲を思い切りつねったのです。

できないのではなくて、やりたくなかったのです。

そんな変な顔の女の子になるんだったら、やりたくない...........

でも小さかった私にはそれが上手く説明できませんでした。

そして、ただただ『運針』といいものが

恐怖以外の何者でもないということを

植え付けられてしまいました。

つねられた手の痛みと真っ暗なトイレに閉じ込められるかもしれない恐怖。

さらに、監視されていることから来る緊張感。

今から考えたら、バカバカしいことですが 

これがずっと私の心の中のどこかにあって、

お裁縫の時間は大嫌いで、今までずっと苦手意識を持っていたのです。



先日、部屋を整理していたら

その時に作った絵が、出てきました


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これがその時の絵です。

ですが、私はこの絵を完成させた覚えはありません。

不思議なことに白かった画用紙が緑の絵の具で塗られていました。

きっと私が描いた線を緑の絵の具で消して

先生が代わりに作られたのでしょうね。





 そんな訳で、お裁縫の時間がとても嫌いになってしまった私ですが

最近、そうでもないのです。

むしろ、お裁縫って楽しいかも.....と思えるようになってきたのです。

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富野先生のキットで作られた青いボンネットの少女のお人形。

一人では可哀想なので

先生にお願いして、ピンク色のバージョンでキットを組んでもらい

早速作ってみました。


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先生がお顔を描かれたハーフドールを使い

レースでスカートやドロワーズなどを作って、ハーフドールに合体させるもので

私のようなお裁縫が苦手な方でも、それなりに完成できます。

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ボネには小さいローズの花が描かれていてとても素敵。

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一人でも可愛いのに

二人並べたら、 なんて可愛いのでしょう。

お裁縫の上手な方が作られたブルーちゃんと

ほぼ同じような出来映えに気を良くした私は

4年前に購入した富野先生のグーグリーちゃんのピンクッションを

作ってみたくなりました。


当時、送っていただいたキットの説明書を読んで

その複雑さゆえに、わぁ〜私には無理、無理......と

仕舞い込んでしまったキットも、

お裁縫の神様が降りて来ている今だったら

出来るかも..............



そう思い立ってすぐにグーグリーちゃんのピンクッションを

作り始めました。

そして不器用な私がなんと1日で完成できたのです。

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アンティークレースでパッチワークされた布が

とても優しくて上品でしょう?

4面とも同じレースを使っているのに

土台の布はピンクとエクリュ色と交互に繋がっているので

レースから土台の布がうっすら透けて見えて

お隣同士で別の表情を見せています。

おててを広げているグーグリーちゃんも

抱っこして〜って言ってるみたいで

とっても可愛いです。


お裁縫の楽しさが ふわっと広がったスカートの中に

ぎゅっと詰められたようなピンクッション。

これでますますこれからのお裁縫が楽しくなりそう............


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どうかこのまま お裁縫の神様がずっといてくれますように....


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