前回のひよっこの記事で

「ひよっこ最後のシーンまで

10月中にはとても仕上げられません。

下手したら今年いっぱいかかっちゃうかも?!

そうならないようにがんばっぺ!」

と確かに言いました。

でも今年いっぱいかかるどころか

年が明けてしまいました。

さて、どうなるお人形版ひよっこ........


illust3786



向島電機の倒産で

年の瀬に再就職先を見つけられずにいたみね子に

救いの手を差し伸べてくれたのは

かつて帰省した父がお世話になったことのある

赤坂の洋食屋すずふり亭の店主・鈴子さん。

彼女の計らいでみね子はここでホール係として

働かせてもらえることになりました。

いがったね、みね子!

SUZUFURIFRONT2



こちらは1/6サイズで作ったすずふり亭の玄関です。

この玄関のエントランスの制作にはかなりの時間がかかりました。

と言うのも、ドラマを見ている限りでは気がつきませんでしたが

すずふり亭って複雑な多角形で出来ているんです。

この玄関ホールもそうです。玄関の入り口が三角形になっています。



外壁と玄関ドアがどんな角度で作られているのか

今までドラマに出て来たすずふり亭の映像や

ネットでアップされているすずふり亭の画像を何度も見返しながら

木材を切ったり削ったりしてようやく形が出来あがりました。

窓やドアのステンドグラスも

できるだけ本物そっくりのデザインや色にこだわって作りました。

ちなみに、このステンドグラスは

少し厚めのプラ版に、ガラス専用のマーカーで描いたものです。


ところが出来上がって、ネットに上がっていたすずふり亭の画像と見比べてみると

あれ?なんかこれ違う......ってなってしまいました。

あれだけ何度も見直して正確に作ったつもりだったのに

なんでネットでアップされていたすずふり亭の玄関と違ってしまったんだろう.......ガーン

そして気がつきました。

ネットでアップされていた多くのすずふり亭の写真は、

ドラマで実際に使われていたセットではなくて

NHKのスタジオパーク内で再現されていた『ひよっこ展』内でのセットだったのです。

それで窓の大きさや、玄関ドアの彫刻が本物とは

微妙に違っていたのです。

そして私はあろうことに、そのスタジオセットと

ドラマでの実物セットをごちゃまぜにして作ってしまったために

最初から作り直さなくてはならなくなってしまいました。

ほんのささいな違いなので黙っていたら絶対わからない程度だと思うのですが

それに気付いてしまった以上、気持ち悪くて

このまま作り進めるわけには行かなくなってしまいました。

そんなこんなで玄関のエントランス制作にだいぶ時間ロスが出てしまいました。



SUZUFURIFRONT1


すずふり亭は店主の鈴子さんが空襲で焼け出され、

店も夫も失って終戦後に懸命に再建してきました。

清楚な白い外壁に洒落たステンドグラスの窓.....

当時にしてはとてもオシャレで素敵なレストランですが

よく見ると店先に置いてある食品サンプルのガラスケースの裏側や

外壁の下方にはうっすらと苔らしきものが生えてます。


すずふり亭のセットは、ただ綺麗なだけでなく、

わざと経年を思わせるような演出もところどころに見られて

セットの建具や大道具のスタッフさんのこだわりを感じました。

ぼ〜っとドラマを見ていただけでは

なかなか気がつかないことですが

こうして実際にミニチュアセットを作ってみて初めて

プロの大道具さんのスキルの高さに感心しました。

私もそれに見習って、外壁の下方やガラスケースの裏側に

モスグリーンでうっすらと苔のような汚しを入れてみました。

SHOW1




この食品サンプルのガラスケースをどうやって作ろうかが一番の難関でした。

このセットの大きさに合うようなガラスケースを探しましたが

見つけることができず、諦めて木で棚を作ろうかと思いましたが

それでは見た目の印象がだいぶ違ってしまいます。

家にあったリーメントのショーケースもサイズが合いません。

そこでひらめいたのは100円均一で売っている

間仕切り付きの透明なプラスチックの小物入れでした。

これを二つ組み合わせて接着してみたら

あのガラスケースのような仕上がりになりました。

もともとあった間仕切りも2つ組み合わせたら

ガラスの棚板のように見えます。

薄いバルサ材を小さくカットして作った赤い屋根には

経年の汚れと擦れをつけ、

中にはリーメントの食品サンプルを入れました。


後方のエンジ色のカーテンでよく見えないかも知れませんが

すずふり亭のメニューに載っていそうなサンプルを選んで

手持ちのリーメントの食品サンプルを

ケースに並べる作業がとても楽しくて

シェフの省吾さんや見習いコックの元治さん、ヒデさんが

軽快なやりとりを交わしながら

厨房で作っている姿を思い浮かべ

私の特技である想像の翼を広げながら並べました。


suzufuri3




すずふり亭の外壁はプロバンス風の漆喰になっています。

この雰囲気を出すのも少し苦労しました。

あらかじめオフホワイトに塗った壁に

モデリングペーストを盛っていくのですが

すずふり亭の外壁のような綺麗な半円風のデザインのように均等に盛れず

プラ版で作った自作のコテのサイズを変えては

何度もやり直してました。

すぐに乾いてしまうので、あれこれいろいろ考える暇もありません。

手も顔も髪の毛も真っ白になりながら

盛ってはやり直して、また盛ってはやり直して......

全部塗り終えたのが真夜中の2時でした。



でもだんだん要領がつかめてくると左官屋さんになった気分で

最後の方は楽しく塗れました。

これだったら自宅の外壁も自分で塗れる気がしてきました(笑)


suzufuri1-insta


「お父さん。いよいよ開店です。

緊張します!」




すずふり亭のホール係として働き始めたみね子ですが

案の定、初めて経験する仕事に頭の中は真っ白.....

みね子の周りだけ忙しく時間が過ぎて行って

その時間にみね子だけが取り残されて呆然と立ち尽くすばかり.....

mineko-ho



「ホールの仕事というのは

料理を運ぶだけで簡単そうに見えるかもしれない。

でも簡単な仕事なんて世の中にはない!」

高子さんがみね子に言ったこの言葉はとても重みがありましたね。




「お父さん、

すでに頭の中が 真っ白です....」


mineko-h4



実は私もみね子と同じような経験をしたことがあります。

数年前に友達に頼まれて

お正月に超有名な某お寺の参道にあるラーメン店で

臨時ホール係として5日間働いたことがありました。

ラーメンの種類は味噌と醤油の2種類。

種類は少ないし、ただ運ぶだけでとっても簡単だから手伝ってと言われ

好奇心からやってみてもいいよと気軽に返事をしてしまいました。


ところが......

狭い店内は年配の参拝客で溢れかえり、店の外にも長蛇の列が出来て

仕方なく急遽ご相席にしていただくことになったのですが

あまりにも客の回転が早かったために

テーブルの番号はわかっても、

どの客とどの客が連れ立って入ってきたのかわからなくなってしまい

今、自分が運んでいるラーメンは

このテーブルに座っているどのお客様にお出ししていいのか

頭の中は真っ白になってしまいました。

メニューが2種類しかないというのも

混乱してしまった原因となりました。


ホールの仕事は、ただ出来上がったラーメンを運ぶだけでなく

お客様の注文を取りながら、

お冷やくださいだとか

お会計お願いしますだとかの要求にも対応しなくてはならず

お客様からひと声かかるたびにパニック......

本当に目が回るような忙しさでした。



そしてお客さんの食べ残しの食器を下げようとお盆に乗せて

厨房まで片付けに行く際に何かにつまづいて

奥で食器を洗っていたスタッフさんに

下げてきたラーメンの器を頭からぶっかけてしまった悪夢のような

おぞましい記憶が蘇ってきました。



みね子のとろさにハラハラしながら見ていました私ですが

よくよく考えたらみね子以上にとろかった.......はぁ...

今思い出してもぞっとする....。

高子さんの言葉がみね子以上に心に染みます。




初日から失敗続きのみね子でしたが

すずふり亭の先輩方やあかね坂商店街の人達のフォローもあって

次第にホールの仕事の段取りも覚え

働くことの大切さや喜びを感じていくようになりました。



「お父さん。

こんな一日を、私はこれから繰り返していくんですね。

働く場所があって、仲間がいるって、楽しいです。」



nakaniwa-insta


こちらの野菜は全て茨城産です←ウソ

以前お人形で「あさが来た」をやった時に

はつさんが畑で作っていた野菜の使い回しです。

樹脂粘土製ですが、劣化もせずに残っていてくれてよかった〜〜




illust3786




さて、そんなみね子ですが、

乙女寮の仲間達との同窓会で貸切りにしていたすずふり亭に

たまたま入店してきた人と運命の出会いをします。

その人の名は、川本世津子。

今をときめく大女優です。




「素敵なお店ですね。今度寄らせてくださいね。」


sestuko3-blog



貸切り状態だった店を無理矢理開けさせようとしたスタッフを咎め

潔く身を引いた世津子さん、かっこいい〜

ただ、帰りぎわでみね子と時子がしゃべっていた奥茨城の方言を耳にした世津子は

わざわざ店内に戻ってきます。



「あの.....2人ともさ、それ、どこの言葉?

へぇ...茨城かぁ....そうか......。」



sestuko4-insta



このくだり、なんか嫌な予感がしてなりませんでした。

もしかしたら失踪しているみね子のお父さんに関することを

この大女優さんは知ってるのではないか......。


案の定、世津子さんは

みね子の父である実に関する重大な鍵を握っていたのですが

この時はまだ

みね子も、世津子も知る由もありませんでした。



illust3786


アパートの住民やあかね坂商店街の人達とのふれあい、

懐かしい乙女寮の仲間との再会、

初めての恋、そして失恋.....を経験し

人間的にも少しずつ成長していくみね子に飛び込んで来た

生放送のコマーシャル出演。

なんでも、当日出演する予定だった女優さんが急病で来られなくなり

たまたま近くにいた年格好の似ているみね子が

ピンチヒッターとして生放送のコマーシャル出演を頼まれてしまったのです。



この出来事が、

後にみね子の運命を大きく変えることになります。



みね子がコマーシャルで言うべき言葉はたった一言。

笑顔で「お父さん、今日も一日ありがとう!」

でも、みね子はどうしても言う事が出来ません。

お父さん....思い出しただけでも涙が出て来てしまうのに

笑顔でお父さんだなんて呼びかけられるはずがありません。

何度もNGを出して落ち込むみね子を

たまたま偶然テレビ局で出会った川本世津子が励まします。





「お父ちゃん、今日も一日ありがとう!」

ochazuke3-insta


世津子と話す事によってようやく落ち着きを取り戻したみね子は

本番ではなんとか台詞を言えたものの

笑顔ではなく泣き出してしまったみね子の様子を見て

世津子はその涙の理由を尋ねます。

そして、みね子の父が二年前に出稼ぎに出たまま行方不明になっていること。

その父を思い出して泣いてしまったこと....。

みね子の口から次々と明かされる身の上話に

世津子の顔色が変っていきます。

明らかに動揺してる.......

そしてついに、みね子から父の写真を見せてもらった世津子は

思わず言葉を失います。



やっぱり世津子さんはみね子の父親のことを知っていたのですね。

そしてそれは隠さなければいけない存在だったのですね。

ここからみね子、世津子、そしておかあちゃんの苦悩の日々が始まりました。



つづく......